民間企業で働き始めてからよく言われたことがある。
「名刺を積極的に交換する癖をつけなさい」
その言葉を信じて知らない相手と積極的に名刺交換をしていた。そして、その名刺が役に立ったことは一度もなかった。
そもそも新規で取引できるような相手とは名刺交換なんてしなくてもそうなる。そのような相手との名刺交換は所詮おまけの儀式にすぎない。
特に良い仕事ができる相手とは電話をすることも少ない。SNSやメールでお互いの時間を占領せずに次々と仕事を進めていけるのだ。
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異業種交流会は本当に無駄
僕が一番嫌いなのは、異業種交流会や名刺交換会のような場だ。それに名刺交換が無駄な作業だと確信したのも異業種交流会である。
1年前に某銀行が主催する異業種交流会に参加して、そこで多くの名刺交換をした。その後、取引できた相手は1社もなかった。
それよりも僕が相手に渡した名刺を頼りに非常に多くの営業の電話がかかってきて対応に追われて大変だった。
その中でもこちらの都合を考えず、一方的に時間を奪っていくような営業をしてきたところが1社あったので一度キレたことがある。
「電話かけてくるのやめてください。用件は全てメールにしてください。」
というようなことを怒りながら言ったら、二度と連絡がなかった。
これは社内でも言えることで、LINEやSkypeで済むような用事はそれで済ますべきだ。個人のスマホで電話をするならまだマシだが、わざわざ本社に電話して、他の人が電話に出て、その人に繋いでもらうという無駄な作業をみていると本当にイライラする。
その電話によって何人の時間を奪うのか考えたことがあるのだろうか。少し考えたらわかるはずだ。
このようなエピソードもあり、今は僕から名刺交換を言い出すことは決してない。
「すごい人と名刺交換する」のは時間の無駄
これは名刺交換について調べていたらたまたま発見したイケダハヤトさんの記事の引用だ。
ぼくは仕事柄、たまに「すごい人」に会います。誰もが知っている大企業の社長さんとか、誰もが知っている政治家とか、誰もが知っている有名人・アスリートの方とか。
でも、そういう人と名刺交換する機会があったとしても、時間の無駄なのでスルーしちゃうんですよね。たまに気を遣ってスタッフの方とかが「イケダさん、ご紹介しますよ」とか言われることもあるんですが、「いやー、いいです。名刺持ってないですしw」と断ること数多し。
「愛想悪いヤツだ」とか思われてそうですが、実際愛想悪いわけですから、仕方ないのです。多くの人が、「すごい人」と名刺交換する機会を望んでいることに、けっこう驚きます。
名刺コレクターとかならわかりますが、交換したところでどうするんでしょう。何も生まれないですよ。たとえば、ぼくがオバマ大統領と名刺交換しても、何も生まれないじゃないですか。
だったらぼくは、お互いのために名刺交換なんぞするべきではない、と思うわけです。無駄です無駄。
万が一、オバマ大統領が目の前で時間を持て余しているように見えたとしても、さっさとその場を離れて家路に着きましょう。妻のおいしいごはんが待ってますしね。
「名刺は不要、日本は無駄が多いよ」
これは週刊朝日のホリエモンの連載記事の内容の抜粋だ。
名刺を頂いても二度と連絡しない人のほうが多いのに、置き場所に困る名刺を大量にもらっている。大量に名刺を持っている人はファイリング装置などを買って机の上に飾ってあるが、数年に一回程度しか結局使わないのである。
そんなことを考えてるうちに、名刺は面倒くさいだけの時代遅れのツールなんだという思いが強くなって、名刺交換そのものの必要性に懐疑的になってくる。となれば、名刺を持つことも交換することも不要で、フェイスブックさえあれば十分なのではないかという確信めいた気持ちが芽生えてくるのだ。
個々人はこの事象に対してどう思っているのだろうか。何人かの知人に聞いてみると、「フェイスブックアカウントを持っていない人へのアプローチに困る」という意見があったけれど、そもそもフェイスブックアカウントを持っていないような人とは仕事をしないと割り切ってもいいレベルに私の周囲は到達しつつある。つまり、皆が名刺交換をしているから惰性で続けているだけで、本当はもう面倒だからやめちゃいたいというのが本音なのだ、という結論に達したのである。
名刺交換の文化がなくなってほしい
イケダハヤトやホリエモンのような有名人が名刺交換論を語ると説得力があるのだが、僕みたいな無名な一般人が戯言を述べたところで何も説得力がないだろう。
しかし、逆にこう考えてほしい。
僕みたいな無名な一般人でさえ、「名刺交換が無駄」だと認識しはじめているのだ。
きっと数十年後には日本から名刺交換文化はなくなっているんだろうな。
実際、海外では名刺交換などほとんどしないし、したとしても片手でポイというようにフランクに名刺交換する。
両手で持って深々とお辞儀をして、ビジネスマナーなんていうものに固執しながら名刺交換するのは日本だけなのだ。
自分の周りにも同じような認識の人たちが少しでも増えてほしいし、そうなっていってくれたら嬉しいと思って記事にした。